議会あれこれ
2008年度第2回定例市会
本会議質疑 議案反対討論 敬老、空港、海上アクセス請願討論
市営住宅減免制度見直しについて
私は第58号議案神戸市営住宅条例の一部を改正する条例の件について、新社会党市会議員団を代表して質疑いたします。
今回の条例改正自体は、利便数係数の見直しですが、これと共に、市営住宅条例施行規則の変更も予定され、家賃減免制度の改正が計画されています。
特に、家賃減免制度の改正は、現行の政令月収による減免で、同じ収入の世帯でも、収入源の相違によって、減免率が異なったり、収入源が多岐に渡る場合、月収25万円の2人世帯で7割減免が生じるなどの是正を行うことや、年収330万円(夫婦子供2人の4人世帯)の子育て世帯で、今まで受けられなかった減免が1割であるが受けることは評価します。
しかし、一方、「生活保護費年額の1.2倍に住居費年額(31万800円)を加えた額で収入額を除した値が0.5未満を7割減免とするとの基準は、生活保護世帯各生活扶助費の6割未満の収入世帯のみが7割減免の適用世帯となり、60歳台単身者では年収737,286円(月収61,440円)未満で、70歳以上単身者では年収710,214円(月収59,184円)未満収入世帯が7割減免適用となります。これでは、震災被災者で多い高齢単身者なら月収6万円以下の人しか7割減免は適用されません。結果、7割減免対象者の内減免打切り6,210世帯、減免率引き下げ7,240世帯にもなり、最大値上げ幅34,300円にもなります。5年間の激変緩和措置や上げ幅上限3,000円と言えども、猛烈な物価高の中、市営住宅居住者にとって大変な問題です。
しかし、今回の対象者である市営住宅住民は今回の改正の中味をほとんど知りえていない状況です。
そこで、質疑しますが、今回の「改正」にかかるパブリックコメントが、4月24日から5月23日の1ヶ月間で、その間に連休を挟んでおり、実質的には3週間しかなかったこと。また、今回の改正による減免対象者の変動や最大値上げ幅、増収額などの情報が一切開示されることなく行われたことなどは極めて問題です。
今回の改正による影響は、市営住宅全住民に及ぶことを考えれば、今回の改正による影響の情報をすべて明らかにして、公聴会を開きまた、パブリックコメントをもう一度やりなすなど、手続きの公正をきすべきでないでしょうか。質疑します。
また、今回提案の家賃減免制度では、特に高齢単身者世帯で、7割減免がはずれ大きく家賃が上昇する世帯が多く、兵庫県被災者連絡会から詳細なデーターに基づいて、生活保護の各生活扶助費と総収入から税金、健康・介護保険料、年金、医療費及び住居費を引き去りした可処分所得とを比べ7割減免の適否の基準にするなどの提案もだされています。
後期高齢者医療制度、敬老優待パスの有料化や世界的な物価高、公共料金の軒並みの値上げなど、低所得者へのしわ寄せが強まっているときだけに、可処分所得による減免適用の検討など、拙速な家賃減免制度の改正は行わず、より公平な制度の確立に時間をかけるべきでないでしょうか。質疑します。
以上、新社会党議員団を代表しての質疑といたします。
(矢田市長)
可処分所得との比較だが、このたびの規則改正では、同じ収入でも控除額に差があり減免の額も違うので、今回、減免の判定基準を支出基準額をベースに変更するが、そのベースとなるものは可処分所得とあまり差がないと考える。世帯の数が変われば対応するので、とらえ方は同じだと思っている。医療費についても控除する対応も考えている。
(石井副市長)
パブリックコメントについては、30日間の日数を取り、広報こうべ、ホームページでも知らせてきた。内容についても改正案の考え方や基準などを公表した。入居者についてもパンフレットを全世帯に配布して、改正案概要やパブリックコメントを行っていることを示すなど、行政手続き条例に基づき適正に行っている。
(あわはら・再質疑)
パブリックコメントだが、どれくらいの人に影響がでるのか、影響額はいくらかなど、みんなが意見を出すための最低の情報開示をすべきだ。市民が情報公開をして、影響がわかったのは、パブリックコメント終了の間際だった。情報を開示しないでのパブリックコメントでは、公正に市民の意見を聞いたとは言えない。手続きに瑕疵がある。パブリックコメントをやり直すべきだ。再度質疑する。
今回の基準と可処分所得との比較ではあまり変わらないとのことだが、高齢単身者では微妙なところで家賃が上がる例がある。例えば、63歳単身者、給与年収120万円、月収10万円だが、現在7割減で今回の基準では3割減免となり、家賃は3倍になる。また、69歳単身者年金年額126万円 月収105000円でも、現在7割減免だが今回の基準では3割減免となり家賃は3倍だ。特に、問題なのは75歳単身者年金収入が132万円 月収11万円で、現在7割減免だが生活保護基準の生活費が加齢で60歳台より逆に低く算定され、わずかの収入アップで、7割減免がなんと1割減免になり家賃は4倍にもなる。市長、6000円の最低家賃としても4倍で24000円だ。11万円の月収で家賃が24000円にもなる今回の基準が公平な基準といえるか。 市民グループからは、だから是正措置として、可処分所得との比較や、所得に応じて掛け率を変えるなどの提案もある。もう少し線引きのところを工夫したり、いろんな提案を時間をかけてシュミレーションをして、ほんとうに公平になっているのかなど、時間をかけて上で、もう一度改正案をつくるべきではないか。
(矢田市長)
トータルで考えると可処分所得と根本的には変わらないし、全体として考えた場合、支出基準額の方が良いと考える。
(石井副市長)
パブリックコメントは、手続きにのっとり行った。計算式なども明らかにして、行っているので、問題ないと考えている。
市営住宅減免制度見直し反対討論
私は、新社会党議員団を代表して、委員長報告に反対し、第52号議案 神戸市市税条例の一部を改正する条例の件、第58号 神戸市営住宅条例の一部を改正する条例の件について反対する立場で討論します。
第52号議案は、地方税法の改正によって、来年の4月1日から住民税を年金から特別徴収という天引き制度によって徴収するというものです。したがって、65歳以上の高齢者は、いつの間にか住民税を自動的に支払わせられることになります。国や神戸市は事務の整理、合理化、簡素化に役立つなどと説明しています。
しかし、本来国民の納税とは、国に支払う義務を求められるだけでなく、納税者として自らが納めた税が国や為政者にとって正しく公平に使われているかどうか、また税務行政が公平に行われているかなど点検する権利も一方保障されています。納税方法は本来、国民の意思にゆだねられるものです。
このような、特別徴収という天引き制度は、税に対する市民の関心や引いては政治に対する関心を減退させ、徴税側によるお上の発想そのものです。
しかも、特別徴収では、納税者の側の事情が考慮される機会もなく、徴税側の市にとっても、市民の生活の実態をつかむ機会を失うことにもなります。住民の生活に関わる一番大事な問題を、国が一方的に決めてしまうことは、地方分権の流れにも逆行する制度変更です。
高齢者はすでに年金から所得税、介護保険料、後期高齢者医療制度での保険料を特別徴収という天引きで支払っており、今回の住民税の天引きで負担感がなお一層募っています。 これから収入が増える当てのない高齢者にこれ以上の精神的な負担感を与えるのは極めて問題です。このような立場で、第52号議案 神戸市市税条例の一部を改正する条例の件に反対するものです。
次に、第58号議案は、条例改正によって利便数係数の見直しを行うものですが、これと共に、市営住宅条例施行規則が変更され、家賃減免制度の改正が行われます。
特に、家賃減免制度の改正は、現行の政令月収による減免で、同じ収入の世帯でも、収入源の相違によって、減免率が異なったり、収入源が多岐に渡る場合、年収300万円の2人世帯で7割減免が生じるなどの是正点や、年収330万円(夫婦子供2人の4人世帯)の子育て世帯で、今まで受けられなかった減免を受けることができるという是正点がありながらも、一方、「生活保護費年額の1.2倍に住居費年額を加えた額に収入額を除した値が0.5未満を7割減免とするとの基準は、生活保護世帯生活扶助費の6割未満の収入世帯のみが7割減免の適用世帯となり、60歳台単身者では年収737286円(月収61440円)未満で、70歳以上単身者では年収710214円(月収59184円)未満収入世帯が7割減免適用となります。
これでは、震災被災者で多い高齢単身者なら月収6万円以下の人しか7割減免は適用されません。
1人暮らし生活保護受給者の保護費は一ヶ月約8万円ですから、70歳以上単身高齢者ではこの保護費にも達していない6万円以下ではじめて、7割減免が適用されるというのでは生活保護との逆転現象が生まれているといわれても仕方ありません。
例えば、63歳単身者、給与年収120万円、月収10万円だが、現在7割減で今回の基準では3割減免となり、家賃は3倍になります。現在家賃8000円としても24000円になり、住居費を除いた生活費は一ヶ月76000円で、生活保護費80410円を下回ることになります。
また、今回の減免制度の見直しの影響は、7割減免対象者の内減免打切り6,210世帯、減免率引き下げ7,240世帯にもなり、最大値上げ幅34,300円にもなります。
5年間の激変緩和措置や上げ幅上限3,000円と言えども、猛烈な物価高の中、市営住宅居住者にとって大変な問題です。特に、震災被災者である高齢者にとっては、年金が目減りし、上限設定されたとしても毎年3000円づつ家賃が上げるとすれば、その負担感と不安感は非常に大きいといわねばなりません。
私は、「先の本会議で、総収入でなく可処分所得との比較や、所得に応じて生活保護基準の掛け率を変えるなどの提案もある。もう少し線引きのところを工夫したり、いろんな提案を時間をかけてシュミレーションをして、ほんとうに公平になっているのかなど、時間をかけて上で、もう一度改正案をつくるべきではないか。」と質疑しましたが、矢田市長は「全体として考えると、生活保護支出基準で考えるほうがよい」との答弁に終始しました。
また、私は、今回の改正にかかるパブリックコメントについても、「4月24日から5月23日の1ヶ月間で、その間に連休を挟んでおり、実質的には3週間しかなかったこと。また、今回の改正による減免対象者の変動や最大値上げ幅、増収額などの情報が一切開示されることなどは市民への姿勢としてどうだったのか」と、私は本会議で問題にしました。
石井副市長は「広報こうべ、ホームページでも知らせ、内容についても改正案の考え方や基準などを公表した。入居者についてもパンフレットを全世帯に配布した。行政手続き条例に基づき適正に行っている。」等答弁されました。
今回の制度の変更は、いくら家賃の計算式や基準などの概要を広報しても、制度や計算式が複雑で、ほとんどの市民は、自ら計算するなど無理といわねばなりません。したがって、当局がパブリックコメントもとめるなら、今回の影響がどれぐらいの収入層にどれだけ影響が及ぶのか。 減免対象者の変動や最大上げ幅、増収額など検討の基本となるものこれを最後ではなく最初に提示するべきだったのです。
多くの市民団体が、これの資料の提示を求めていたのに、情報公開で公開せざるを得なくなってあわてて公開したことは、市民の知る権利を最大限保障しなければならない行政のあり方として大きな問題を残したのではないでしょうか。
最後に、原油の投機から始まった今回の物価高、生活弱者の暮らしを襲っています。このようなとき、行政は積極的に物価安定策を模索し、市民生活の安定を一番大事にするべきです。この時期に、敬老優待パスや児童館学童の有料化、予算での多くの公共料金の値上げ、そして今回は年金からの保険料、住民税の天引き、また市営住宅の減免制度の見直しによる実質値上げなどは極めて問題といわねばなりません。
こんな時期こそ、見送る勇気を行政として持つべきではないでしょうか。
そのことを述べ、新社会党を代表しての討論といたします。
敬老。神戸空港、海上アクセスなど請願討論
私は新社会党議員団を代表して委員長報告に反対して請願第35号、請願第36号、請願第37号、請願第41号、請願第42号に賛成の討論いたします。
これら請願は、敬老優待乗車制度の現制度の存続を求めるもの、スカイマーク社の欠航問題や安全性などの調査、海上アクセスの即時撤退を求めるものなどです。
敬老優待乗車制度は、ICカードの個人情報の提供のための同意を求める封書の到着で市民の中には混乱が広がっています。「封書に書かれている意味がわからない」「今回の制度変更への同意書ではないか」「ICカードって何、チャージの意味は」など、後期高齢者問題と一緒になって敬老優待乗車制度の今回の制度変更に対して一層の怒りの声が広がっています。
特に、高齢者のところには今回の封書につづき、住民税の決定通知、国保料の決定通知が次から次への送られ、そして7月には後期高齢者保険料の決定通知が送られると聞きます。
港湾交通委員会では、交通局の審査でチャージ機を市バスと地下鉄の駅の設置するのに約10億円の新たな投資となるとの報告もありました。ICカードを手にした高齢者が50円を手に持って、運転手さんに手渡そうとして混乱が起こる姿が目に見えるようです。
新社会党は、今回の敬老優待乗車制度の「乗るたび制度」への見直しは、高齢者の社会参加を抑制するばかりか、地域経済にも悪影響を与え、介護や国保の支出を増やし、住んでいる場所での負担格差、また、わずかの収入の違いで大きな負担と無料が混在し、高齢者間に大変な差別と不審を持ち込み、利用者の側の視点を忘れた、この間制度見直しをした政令都市の中では、最悪の選択だと主張してきました。
私は、敬老優待乗車制度の継続とは、高齢者の社会参加を促進するとの本来の趣旨から、その中身は「いつでも、何度でも、バスだけでなく地下鉄や新交通にも乗れるフリーパス制度」だと主張してきました。
多くの、高齢者は、無料か有料かとの思いだけでなく、「乗るたび」との市長提案で、フリーパス制度がなくなることへのショックが極めて大きいと思います。
したがって、新社会党議員団は、「乗るたび提案の」懇話会での提言が出て以来、一貫して、「フリーパス制度が高齢者の社会参加を促進する制度で、これは継続してほしい」と主張し続けてきました。
利用者の立場にたつならば、一番高齢者が社会参加しやすい制度はどの方式かをまず考えるべきだったのです。その上に、立って、その制度を継続させるためにはどういう財源措置を講じるべきかを議論すべきだったと思うのです。フリーパス制度を存続させれば高齢者の中で無用な混乱を起こさせることもなかったと思うのです。
修正に修正を加えた結果、極めてわかりにくい制度になってしまったといわねばなりません。懇話会の議論が「負担ありきだったから」ボタンのかけ違いが起こり、利用者の利便性はどこかに飛んでしまい、果ては「寝た子を起こして」民間バス事業者との負担割合の交渉を優先し、政令都市での最低最悪の制度提案になってしまったのではないでしょうか。
最近の物価高や後期高齢者医療制度や公共料金の値上がりが目白押しな中、当面現行制度を存続させ、高齢者の利便性が担保される制度となるよう再検討を求めるものです。
次に、スカイマーク問題についてです。
「スカイマークへの過度への依存は問題」とまえまえから新社会党は主張してきました。黒字路線である羽田ー東京便は当初12往復の内7往復がスカイマークでした。ところが、黒字であるにも関わらず、7往復の内、2往復を利益率の高い羽田ー旭川便に振向け、7月からは機長の退職により更に2往復を運休し、開港当初7往復あったものが7月からは3往復しか飛んでいないという燦燦たる状況になっています。
それに加え、鳴り物入りで宣伝していた季節便の那覇便も取りやめることが決まりました。着陸料収入も今回の運休だけで2ヶ月で600万円が減収となり、これに旭川便の減便も入れれば対前年度で1000万円をこえる減収となっています。
また、旅客数も今回の問題が吹き上がっていない5月次点でも、旭川便への振り代わりですでに5.5%の減となり、今回の問題で更に24000人への旅客減になるとの報告もありました。
会社自体は8月半ばから9月にかけて回復させるとの見通しを明らかにしていますが、機長退職の背景には慢性的な人員不足に過密労働が指摘されており、本当に回復するのか疑問の声も聞かれます。更に、安全性の問題についても以前からたびたび国土交通省から指摘されており、私たちが以前から指摘していた「スカイマークへの過度の依存は問題」の指摘が現実味を帯びてきています。
この際、請願者が指摘しているとおり、安全性や経営面での現状を国土交通省に任せるのなく、神戸市自らが調査し、把握する必要があると思うのです。
次に、海上アクセスベイシャトルについてです。
また、海上アクセス(ベイ・シャトル)は、昨年に引き続き、赤字を補うために市税1億9500百万円が投入され、更に船舶購入費の貸付として4億円が計上されました。
しかし、平成19年度の海上アクセス社の事業の状況では、2億4000万円を港湾事業会計から投入し、積極的な利用促進や駐車場事業など付帯事業も展開しましたが、乗客数は目標の41万人に対し8割程度にとどまり、結果上半期で7000万円もの赤字を計上するに至っています。もうすでに、平成19年度事業会計が役員会待ちとのことですが、大幅な赤字は確実な状況です。
海上アクセス会社によれば平成20年度には1800万円の黒字ということですが、1億9500万円の補助金があってのことです。委員会の質疑によれば、この補助金は、「資本費の一部とバス運行などを試算したもの」とのことで、一過性のものでなく、経常的に続くものと思われ、極めて問題です。
そもそも、海上アクセスはすでに164億円の累積赤字を計上しています。本来であれば、この補助金も赤字の補填のような色彩が強く、これも含めれば、ますます、神戸市からの負担が増え続けてゆくことになります。
そもそも、需要予測の調査もせず、休止当時の乗客数をもとに試算をしたと言うのですから話になりません。これ以上、負担を増やさないためにも海上アクセスベイシャトルは休止するべきです。
以上、新社会党を代表しての討論とします。