議会あれこれ 

2008年度第4回定例市会

空港・海上アクセス請願討論

私は新社会党議員団を代表して、先の委員長報告に反対して請願第48号、請願第50号、請願第56号、請願第57号の採択を求めて、賛成の討論いたします。

 これら請願は、阪神沖で発生する青潮の発生調査の予算措置を求めるもの、土地処分や乗客増がすすまない神戸空港の今後について市民の知る権利の保障を求めるもの、また、今年10月から始まって敬老優待パス制度の有料化の中止を求めるもの、また、赤字経営からなかなか抜け出せない海上アクセスの運航中止を求めるものなどです。

 今年も8月25日午前、夙川河口の香枦園浜、御前浜沖で青潮が発生したことが報じられました。青潮の発生は、大阪湾全体では2003年以来、阪神沖では2005年以来確認されています。

 また、東京湾では1970年台から青潮の発生が報告され、多いときには年間11回も発生したと報告されています。青潮の発生は、東京湾では埋立のための土砂を削り取った巨大な穴ぼこや浚渫された航路などが原因と指摘されています。大阪南部にはたしかに穴ぼこの存在が確認されています。しかし、芦屋、西宮海域には穴ぼこが存在しないことが確認されています。

 以前の港湾交通委員会の質疑で、当局は、芦屋、西宮海域での青潮の発生原因が「航路筋にあたるところは停滞しやすい」と、暗に航路が原因であるように答弁されました。しかし、請願者の調査では、大阪湾の東西を行く航路と青潮が発生した一体とは10キロ近くも離れ、しかもその中間には巨大な一文路提があり、航路が青潮の発生源とは考えられないのです。
 委員会では、その指摘に当局から「原因は航路ではとの以前の答弁は取り消す」との趣旨の発言がありました。

 請願者の調査によれば、夙川河口を中心に完全に停滞した海になり、汚染指標といわれ、汚染に強い生き物であるごかいの仲間ヨツバネスピオでさえ見出せないというのです。低層DOが0の地点で、環境の悪化が著しいのです。
 青潮を発見した西宮の貝類館の関係者によれば「この海域では秋を迎える時期に発生しやすい」と語り、海底の水温が海面に比べ約1ヶ月遅れて上昇するという専門家の指摘からみて、海水の交換がなく完全に停滞した海の海底が最も汚れる時期がこの時期なのです。
 
 西からの潮の流れがあれば、このようなことが起こることはなく、西からの潮の流れが何らかの影響で停滞してしまっていることを示しています。青潮の初めての発生時期が、神戸空港の護岸が海面に浮かんできた頃と重なることから、神戸空港の存在がそのものが主要な原因であると考えるのが一番合理的で、科学的だと思うのです。

 すでに、国土交通省も事態を深刻に受け止め、関係自治体との協議だけでなく、すでに1昨年から海洋環境整備船での海底の地形調査もはじめています。委員会審査の当局答弁でも、「事態は認識しており、国土交通省が主催する大阪の会議にも参加している」ということでした。
 bvもう一歩踏み込んで、芦屋や西宮など関係自治体にも、呼びかけ本格的な青潮の原因調査を行うべきです。

 1990年代以降、工場排水の規制と生産拠点の移動で汚染原因は減少し、生活排水も下水道の普及や高度浄水処理によって、大阪湾の海岸環境は大きく改善されました。環境局の調査でもその結果は明らかになっています。
 ところが、何らかの原因で、最近、潮流の流れにおきな影響が現れ、青潮発生という異常な事態が生まれています。神戸空港が原因でないことを強調するあまり、「高温少雨が原因」「海底の地形が原因」と「天候と地形などの自然条件が原因」とするにはあまりにも無理があります。その結果、原因調査を怠ることになることの方が大きな問題ではないでしょうか。

 神戸空港は開港から来年2月で、丸3年を向かえますが、需要は伸びず、今年度10月まで8ヶ月連続対前年度われになっています。 更に、来年1月で鹿児島便が廃止され、更に4月以降、仙台便が廃止されることになり、実質離島便を除けば、主要3路線空港になってしまいました。
 
 当初、神戸空港の管理収支は平成21年度の着陸収入を15億9500万円と見込んでいましたが、現状は計画から7億円減となっています。沖縄減免の据え置きもありますが、減便と機材の大型化がすすんでいないことが大きな原因です。

 今後の、乗客増は極めて難しく、金融危機がすすむ中、航空会社は機材の大型化から中型への移行にシフトしています。 着陸料の減を当局は、管理経費の縮減で対応してきましたが、安全性や搭乗者サービスでほぼ限界であり、起債償還が今後増えることから、黒字を継続できるか極めて厳しいといわねばなりません。

 また、神戸空港の造成には1982億円もの借金があり、その返済が2009年度に迫っており、造成した土地が売れなければ大変な状況になります。当局は約1770億円の使える現金預金があり、これを活用するとしていますが、2009年から2015年の7年間で、空港島とポーアイ2期の借り換え分をあわせただけで、それをはるかに超える2600億円もの起債の償還をしなければならない計算になります。

 市民は今の神戸空港の需要の見込み違いや進まぬ土地処分を冷ややかな目でみています。事業が成功しても失敗しても住民投票さえ実施していれば、責任の所在が明らかになり、このような事態になっても市民が真剣に英知を結集することができたと思うのです。 したがって、大丈夫ということでなく、当局にとって不利な情報でも市民の知る権利の保障をするべきと思うのです。
 
 次に敬老優待乗車制度についてです。
 10月から新制度による敬老優待乗車制度が始まっています。今になっても、ICカードと磁気カードの区別、また先払いのチャージ方式や市バスでの均衡区と均一区での乗車時でのICカードの扱いの違いなどで高齢者の中にわかりにくいとの憤りの声が上がっています。

 また、乗るたびに交通費が嵩むことから、「今後は外出を控える」との声を多く聞きました。委員会での交通局からの報告では、昨年10月の敬老優待パスの利用実績と今年10月の利用実績を比べると、市バスで昨年62188人が41477人と33パーセント減、地下鉄が26874人が20190人と25パーセントも減少しています。神戸市の当初予想が15パーセントであったことから、当初予想を超えて、利用者が大きく減少しています。
 決算市会の反対討論のときに、東京都老人総合研究所の新関省二研究部長のまとめた調査研究を明らかにさせてたいただきました。それは、一日一回以上外出する人と週に1回以下の外出の人を比べると、歩行障害の発生では週に1回以下の人は4倍、認知症では3.5倍の発生リスクがあると言うのです。
 今回の制度見直しによって、確実に高齢者の外出は減少します。その結果が、ここ2~3年ででることはないかも知れませんが近い将来は国保事業や介護事業の費用増につながってくることは必死です。

 新社会党議員団は、乗る度制度でなく、フリーパス制度をまず継続をさせること、その上に立って、財源手当ての議論を行うべきと主張しました。
 「乗る度、負担ありき」で制度見直しを強行したことは将来に大きなツケを残すことになります。「乗る度、負担ありき」の現行制度は中止するべきです。

 また、海上アクセス(ベイ・シャトル)は、2007年度決算で2億3千万円、今年度は1億9500百万円が、更に船舶購入費の貸付として4億円が支出されています。

 そもそも、海上アクセスはすでに166億円の累積赤字を計上しています。休止したものを、国土交通省の肝いりで、強引に再開したものです。
 そもそも、需要予測の調査もせず、休止当時の乗客数をもとに試算をしたと言うのですから話になりません。補助金は赤字が続く限りだし続けるということです。また、付帯事業と本体事業である海運事業の収入の比率を前回の委員会で聞いたところ、5:5ということで、どちらが付帯で本体事業かわからなくなっています。

 しかも、付帯事業のほとんどは駐車場管理業であり、別に海上アクセス会社しかできない事業ではありません。市民からに批判をかわすために、何が何でも黒字に見せようと逆に多額の補助金の投入や形を変えた資金融通が行われています。しかも、累積の166億円の負債をどう返済するのかの明確な方針は立っていません。

 このような手厚い応援で「今年度は黒字になる」と答弁してきた当局ですが、昨日の日経新聞によれば、今年度も関空の減便や燃料高がひびいて今年度も赤字との見通しだと報じています。 

 公共性でなく、政治で再開した海上アクセスですから、これ以上借金を増やさないためにも政治で休止するべきです。
 以上、新社会党を代表しての討論とします。