外野席



BSアニメ”プリンセス・ナイン”私設応援団!

 
 プリンセスナインのプロデューサである、NHKエンタープライズ21の後藤克彦氏をして、”そこまで大げさに扱っていただかなくても”と恐縮せしめた、いわく付きのコーナーっす(マジ)。


(最終更新日10月14日)


 はじめに

 NHK衛星第二放送で水曜日午後六時から、大反響放送中(!)の”プリンセス・ナイン”。女子校の硬式野球部が甲子園を目指す、という話となれば、女子野球に異様な執念を燃やす私が黙って見逃す筈がない(笑)。
 という訳で。応援団とはいうものの、このページではプリンセス・ナインを見ていない、あるいは見られない人をほったらかしにして吹きまくります(笑)。

 おねがい

 P9関係のページから、直接ここに飛んで来られる方もおられますかと思いますが、その際でもちらっとでもINDEXに顔を出して、カウンタを回してやって下さいな。このカウンタの回り方一つとってみても、管理者のやる気にかかわってきますので……(^^;)

 なお、新設のラッキーゾーンにてプリンセスナインのファンフィクションを掲載しております。こちらも是非ご覧下さい。



 あらすじ 登場人物 P9関係リンク ラッキーゾーン



あらすじ

第1話「わたし早川涼、15歳!」

 平成10年三月。中学卒業を間近に控えた
早川涼は、町内会の草野球チームのリリーフエースとして野球を楽しんでいる。学校帰りに急遽セーラー服のままリリーフのマウンドに登った涼は、三球連続ボール球を投げた後、立て続けにストライクゾーンに剛速球と叩き込み、相手チームを唖然とさせる。
 名門・如月高校への進学を決めた幼なじみ・夏目誠四郎に進学について訊かれた彼女は、おでん屋を切り盛りしながら女手一つで育ててくれた母を助けるため、進学する気はないとうち明ける。
 ある晩、いつものように母のおでん屋の手伝いをしていた涼の元に、風体の悪い二人組が現れる。客の一人――木戸晋作の挑発に乗り、涼はノンプロあがりだというこの二人と、夜の野球場で勝負することになる。
 涼の剛球に対し、全く手のでない二人。そこへ、一人の少年が飛び入りで参加する。それは、超高校級スラッガーとしてテレビでも話題になる高杉宏樹だった。

第2話「名門女子校に野球部が?」

 高杉との勝負。二度続けてヒット性のファールを飛ばされた涼は、ど真ん中へのストレートで高杉のバットをへし折り、ピッチャーライナーに打ち取る。
 その勝負を裏で演出した如月女子高校の理事長・
氷室桂子は、理事会にて女子硬式野球部の創設を提案、3年以内に甲子園での優勝が目標とぶちあげる。
 高野連規則すら変えさせてみせると豪語する桂子は、特待生として涼を入学させようと動く。
 如月女子に面接に訪れた涼は、そこで如月高校に進学する高杉と出会い、理事長の一人娘・氷室いずみが男子相手にテニスの練習をしている光景を目撃する。天才テニスプレイヤーであるいずみは高杉の幼なじみでもあり、二人は恋人同士とのもっぱらの噂だった。高杉と一緒にいる涼をみて、いずみは心中穏やかでない。

第3話「お父さんが立ったマウンドへ」

 涼はすんなりと面接に合格する。三年以内に甲子園出場という目標を桂子に聞かされ、不安に感じる涼。一方、高杉と親しくしている涼を目の当たりにしたいずみは面白くない。
 桂子は野球部監督として英彦とかつてバッテリーを組んでいた木戸を監督として招聘する。
 面接を終えた帰り道、涼は50メートルは離れた位置から、テニスボールをテニスコートのフェンスの破れ目に投げ込むという離れ業を見せる。そこで涼はいずみと言葉を交わし、成り行きからテニスのコーチを受けることになる。いずみの鋭いサーブを、数度の空振りの後に打ち返してみせる涼。
 その光景を見ていた木戸が、今度は涼の投げる球を金属バットで打ってみるよう挑発する。
 いずみはツーストライクから、強烈なピッチャー返しを放つ。

第4話「よろしくね、聖良さん」

 春休みの野球部初練習の日。まだ涼の他に
東ユキ吉本ヒカルの二名しか特待生入学を決めていないという状況に愕然とする涼。さらに涼は”おでん屋で酔っぱらっていたおじさん”という認識しかなかった木戸が監督だと知り、驚く。
 女子野球部の参加は認められないとの高野連の返事が桂子の元に届く。一方、木戸は特待生候補選手の一人、森村聖良の入部説得に奔走する。

第5話「荒波スイングと、対決!」

 森村を加えて練習を続ける涼たち。勝手にマネージャーとして
毛利寧々が潜り込んできたが、まだ選手がそろわない。そんな中、入学を拒否している強打者――堀田小春の説得に向け、涼は高知に向かう。
  漁師になることを目指す堀田は涼の説得にも応じない。涼は入部を賭けて海岸で堀田と勝負。波飛沫が眼に入るという不運もあり、小春は三球三振。入部を認める。
 一方、如月女子高では桂子が女子野球部の創設を発表し、マスコミが騒然となっていた。

第6話「このボールを受け止めて」

 如月女子高校の入学式。涼たちの高校生活が始まる。 
 涼の剛球を捕球出来る選手がおらず、困っているところに毛利が柔道部員――
大道寺真央に目を付ける。素質は間違いないが、精神面での弱さがネックとなっている選手だった。
 新人タレントオーディションに落選した渡嘉敷陽湖が、”スターになるため”、入部を希望してくる。球歴を詐称して押し掛けてきた渡嘉敷は、実際には野球経験は全くなかった。にもかかわらず、木戸は入部を許可する。女の涙に負けた、と吉本や森村に突っ込まれる木戸。
 大道寺は見事に涼の球を捕り、入部テストに合格する。
 高杉といずみが”将来を誓い合った仲”といずみの取り巻き連に聞かされ、動揺する涼。

第7話「いずみさん、あなたが欲しい!

 依然として選手数の絶対的不足に頭を悩ませる木戸監督。その状況を知ってか知らずか、桂子は練習試合の対戦相手を決めてしまう。相手は中学の強豪チーム。
 練習を始めたものの、大道寺は涼の球をまともに捕球できず、渡嘉敷はフライを怖がって逃げ、と散々な状況。
 かつて中学軟式野球の名ショートとして鳴らしたという
三田加奈子を入部させたい涼達。が、如月女子校の校長である彼女の父は野球部の創設すら反対していて、そのままプレイするのは難しい。毛利が”変装と変名”という奇抜なアイデアでとりあえず校長の目から逃れることに成功するものの、部員はなお八名。しかも打力の要となる選手がいない。
 木戸監督の考えに、我が意を得たりとばかりに涼がいずみの元に訪れる。野球部への入部を求めるためだった。

第8話「野球部の運命をかけて」

 涼の勧誘に、天才テニスプレイヤーとして将来を嘱望されているいずみが承諾するはずもない。だが涼は諦めきれない。
 一方のいずみは、母・桂子との心の溝を感じ続けている。桂子が、早川英彦の写真を収めたペンダントを大事に持っていることにも我慢がならない。その鬱憤は涼に向けられる。
 木戸監督の再度の挑発。今度は野球での真剣勝負。涼が勝てばいずみは野球部へ入部し、いずみの勝利は野球部の解散と涼の退学を意味する。どちらも負けられない涼・いずみは、ともに猛練習を開始する。
 だが、野球では素人のいずみは、マシンの球すらまともに打ち返すことが出来ない。弱気が顔を覗かせたとき、高杉が彼女のコーチ役を買って出る。
 そして勝負の日。特訓で全身に傷を負いながらも、いずみは不敵な笑みを浮かべて打席に入る。勝負が始まった。

第9話「勝った者と負けた者と」

 涼の初球をいずみは捉える。が、わずかに振り遅れたか打球は一塁線へと力無く上がる。が、ライト・渡嘉敷がこれを追わなかった為、ファールになる。
 二球目。特訓で体力を消耗しているいずみは空振り。三球目。渾身の力を込めて放ったいずみの打球は涼の眼前でイレギュラーして三塁線を切る。
 四球目を投じる前に、涼の心に葛藤が生まれる。いずみがボロボロになりながら自分に牙をむく、その理由を考えたからだった。涼の抜いた球はど真ん中へ。いずみはこれを思い切り引っ張る。打球はサードのいない三塁線へと走る。ショート・三田がダイブして一塁に送球。クロスプレーになるが、ヘッドスライディングで一塁に飛び込んだいずみの手がわずかに早く、結果は内野安打。いずみの勝利となった。負けた結果、自身の退学と野球部解散という事態に消沈する涼。
 勝負の後、いずみは高杉から、涼の四球目が全力の投球でなかった事を聞かされて動揺する。そして、自ら涼の退学と野球部解散という条件を取り下げるのだった。

第10話「如月ナイン誕生!」
 強豪中学の野球部との練習試合が始まる。今後の如月女子野球部の今後を占う大事な一戦。
 一回表、涼は三者連続三球三振という驚異的な立ち上がりを見せる。
 反対に一回裏、森村の内野安打、吉本のセーフティバント、そして堀田のタイムリーで如月は一点を先取する。
 が、ここで不在の四番・サードの代役である毛利がブレーキとなって追加点をあげることが出来ない。
 如月は毛利の他にも渡嘉敷、大道寺といった野球未経験者を抱えており、守備力の面で次第に自力の差が現れてしまう。東の強肩などが光ったものの、九回裏の時点で得点は4対1。ツーアウトながら満塁というチャンスを迎えるが、ここで打順が毛利に回る。
 万事窮したこの場面。そこに、いずみが駆けつけて代打に立ち、特大の満塁ホームランを放ってみせる。遠回しな表現で野球部への入部を承諾するいずみだが、わだかまりが消えたわけではなかった。


第11話「私たちは甲子園を目指す!」

 いずみはラケットを燃やし、「後戻りは出来ない」と決意を新たにする。野球部の練習に参加したいずみは自ら特守を志願する。反対に練習をさぼる渡嘉敷。チームは未だにまとまってはいない。
 高野連にて、女子チームの高校野球大会出場への協議が行われるが、全会一致で否決される。なおも食い下がる桂子に、女子でも男子野球部と互角と戦えるか否か、に焦点が絞られる。桂子は相手を甲子園の常連・臨海大附属高に指名する。
 1%の可能性に賭けて士気を高める涼達を後目に、対戦を拒否する臨海大付属高。桂子はマスコミを味方に付けての巻き返しを計る。
 ”涼の魔球”についてマスコミの関心が集まるが、涼は当惑するばかり。涼は亡き父・英彦を巡る桂子や木戸監督との因縁に思いを巡らせる。

第12話「涙の100連発」

 急速に野球技術を向上させていくいずみとは対照的に、素人レベルから脱却できない大道寺と渡嘉敷。特に守備の要である捕手の大道寺に対し、いずみは「チームの足を引っ張る選手は不要」と断じる。
 臨大附の実力をビデオで知り、自信を失いつつも涼は実体のない魔球に望みを託す。木戸監督は魔球”イナズマボール”の伝授する変わり、学校の敷地のはずれにある不整地を耕すことを命じる。不承不承ながら、一人で作業をやり遂げる涼。が、涼を前に木戸監督は言を濁して魔球のことをとぼける。
 いずみが大道寺に部に残るための条件を示す。涼が全力で投げる球を100球のうち1球でも正確に捕れるか否か。
 大道寺はようやくの思いで100球目を捕球する。連日の特守を受けるいずみに対する、せめてもの対抗心が為せる技だった。が、結局涼は魔球をマスターすることなく、臨海大との勝負を迎えることになる。

第13話「オンナノコ作戦開始!」

 実力差を理解する木戸監督は、女子チームであるが故の弱点を逆手に取った、心理面での揺さぶりを仕掛ける作戦を伝授する。
 臨大附先攻で始まった試合。不安を残していた涼は、三者三振に臨海大打線を打ち取る上々の立ち上がり。
 一回裏、臨大附の投手・石丸は木戸監督の策にかかり、森村・吉本の出塁を許した上に堀田にタイムリーを打たれ、二点を献上する。
 が、その後は決め手を欠くままイニングが進んで六回表。ようやくのことで立ち直った臨大附の反撃で涼は、ワンアウト、一・三塁のピンチを迎える。

第14話「幻のイナズマボール」

 大道寺の経験不足から、変化球を交えた投球を組み立てることが出来ない涼は六回表に臨大附打線に捕まり嫌な展開に陥りつつあった。
 満塁での石丸のショートライナー。三田が変装を気にした結果のエラーで同点に追いつかれる。三田は責任を感じ、三田校長が見ていることを承知の上でグランド上で素顔を晒す。
 涼はバックの助けでどうにか勝ち越しを許さないものの、如月女子が涼だけのチームのように扱われることにいずみは我慢ならない。その気迫がいずみの二塁打、さらには東の四球を呼び、三田の汚名返上の貴重な勝ち越し打点をもたらす。
 しかし九回裏、臨大附はノーアウト満塁と攻め立てる。涼は絶体絶命の危機の中でイナズマボールの正体を知る。それは、最後まで諦めずに投げ通すという気合いの乗った直球であり、小手先技の変化球などではなかった。強烈な伸びと重さをもって投げ込まれるイナズマボールは、臨大附打線を完全に封じ込める。スコア3対2。如月女子は見事に勝利をつかみ取る。

第15話「お父さんのスキャンダル」

 臨大附を破り、地区大会出場を認められて意気の上がる如月ナイン。だが、結果としてマスコミの注目は結束を高めることにはつながらなかった。三田は野球部に所属していたことを理由に、三田校長から自宅に軟禁状態に置かれる。渡嘉敷は芸能界からの誘いを受け、一も二もなくそちらに気を取られて練習に顔を出さなくなる。
 そして、マスコミの矛先は思わぬ方向に向かった。 
それは涼の父、英彦がかつて高校、プロで名を馳せた剛速球投手であることよりも、彼が野球賭博に関わったとして球界から永久追放を受けた選手であるという点であった。
 父の過去をほとんど知らされていなかった涼はひどくショックを受ける。一方、如月女子高校では野球部そのものの存在に疑問符をつける動きが、保護者会を中心に活発化し始める。

第16話「さよなら、野球部」

 野球部への風あたりはヒステリックに加速する一方。そんな中でもいずみは一人、黙々とトレーニングを続ける。自分自身で答えを見つけてくれると信じて。それだけに、涼が退部届を提出したことを知って激しく憤る。
 傷心の涼は、あてもなく父・英彦の故郷に足を向けていた。偶然訪れた養護施設で、涼は父の知られざるエピソードを知る。心の晴れる思いがした涼は家に連絡を入れ、如月ナインと監督、高杉らは安堵。代表して高杉が迎えに行くことになる。高杉はいずみに涼の居場所を教えた上で出発する。
 局地的な豪雨が養護施設のある地方を襲う。涼を迎えに行く高杉、涼の家のおでん屋を手伝う東は共に不吉な予感を感じる。
 養護施設の子供二人が帰らないことを聞かされた涼は雨中に飛び出し、川の中州に取り残されている二人を発見する。

第17話「夢…」

 いずみは涼への腹立ちが収まらず、一人で街を彷徨する。
 涼は増水した川の中州に取り残された子供達を助けたものの、意識不明の重体となって病院に運び込まれる。それを知り、毛利が用意した車”ルードヴィッヒ号”で駆けつける部員達。その中には軟禁状態から抜け出した三田や、芸能人の集まるパーティを蹴った渡嘉敷もいたが、いずみの姿はない。
 夢の中で、涼は英彦と出会う。英彦にイナズマボールを投げて見せ、かつての事件に対する思いをうち明ける涼。
 意を決して、養護施設まで足を運んだいずみは涼の身に起こった事を知り、嵐の中、涼の収容された病院にまで姿を現す。
 一度は心臓停止にまで陥りつつあった涼の容態は、いずみ達の呼びかけが通じたのか快方に向かう。 

第18話「加奈子のバースデー・プレゼント」

 順調に体調を回復させる涼は、夢で父と会い、「何より野球が好きだ」と言われたと母・志乃に話す。
 そのころ学園では、保護者会で野球部廃部と涼の退学が提案されることとなったが、涼の子供の救助が新聞に掲載されたことにより、形勢は野球部有利に傾きつつあった。
 明日の保護者会を控え、涼と野球部の将来に思いを馳せる部員たち。その中、加奈子は誕生日のプレゼントの希望を聞かれ、野球部の存続と涼の退学の取り消しを三田校長に訴える。「私は野球を出来なくても良いから、野球部だけは続けさせて欲しい!」と。
 そして運命の保護者会。校長は一転、廃部と退学を全面撤回する。それは加奈子の思いに答える、最高のバースデー・プレゼントであった。
  いずみから廃部届けを突き返された涼の所へ訪れた木戸と理事長から語られる英彦の真実。当時、英彦はプロ野球での大活躍、そしてある社長令嬢(理事長)との交際と、まさに人生順風満帆であった。しかしそれをねたんだ周囲の罠にはめられ、八百長の疑惑をかけられてしまう。英彦は無実を主張し、「潔白を証明して迎えに行く」と理事長に約束するが、結局永久追放となってしまい、彼女に迷惑をかけないため姿を消したのであった。
 涼は父を信じ、甲子園への夢を目指す決意を新たにするのであった。そして再び集う部員たち。軟禁から解放された三田。タレント業を一時中断し帰ってきた渡嘉敷。そして野球部はいよいよ始まる地区予選に向けた強化合宿へ……。

第19話「偽れない思い」

 涼が木戸監督の”アミダクジ”で野球部主将に任命される。
 高杉の誕生日が近いという話を聞き、何かプレゼントを、と考えた涼は自分で刺繍を施したハンカチを高杉に渡す。
 夏目は涼のピッチングフォームを元にした絵を描いている。秋の美術展で発表したいが、涼に直接言う勇気がないとヒカルにうち明ける。夏目はヒカルに励まされて涼に話すが、涼は笑って取り合わない。落ち込む夏目にヒカルは、モデルの代役として自分を考えて置いて欲しいと告げる。
 女生徒の人気の的である高杉。しかしプレゼントを抱えて待つ女生徒を置いて高杉は学校から抜け出し、いずみと二人、河原でハイキング気分を楽しんでいる。
 高杉が涼の渡したハンカチを持っていることに、嫉妬の念をあからさまにするいずみ。幼なじみの絆を信じながらも、涼の存在が気になって仕方がない。その思いは涼の渡したハンカチを高杉が持っていることで頂点に達する。
 しかしその裏で、高杉は中学時代の記念のメダルを涼に渡し、「好きだ」とうち明ける。いずみに気を使いながらも、高杉の事を邪険に仕切れない涼。

第20話「胸騒ぎの強化合宿」

 強化合宿に入る如月女子野球部。高杉の件でいずみは打撃不振に陥る。
 禁酒の誓いを半日で破る木戸監督。聖良は皆に「実は監督のことが好きなのでは」と突っ込まれて怒る。その後、”好きな人”の話題で盛り上がる。
 大道寺は大学の柔道金メダリストだという。ヒカルの好きな人が夏目だと聞いて驚く涼。一方、好きな人がいないかと三田に尋ねられた涼は、いずみに気を使って高杉を意識しながらも「今はいない」と応える。
 いずみは涼が高杉から貰ったメダルを合宿に持ってきている事を知り、激しく動揺する。真夜中に高杉に電話をするが、思いをうち明けきれない。
 合宿二日目。いずみの打撃不振はさらにひどくなっている。自分に責任があるのではと心を痛める涼。
肌身離さず持っていた人形”フィーフィーちゃん”を無くし、異常に慌てるユキ。

第21話「高杉君なんて、嫌い!」

 合宿で部員達は成果をあげ始める。特にホームラン性の当たりを好捕する渡嘉敷の成長は著しい。
 人形を無くした東が倒れ、寝込んでしまう。木戸監督は東の過去を明かす。過去にいじめに会い、人形にしか心を開かなくなったという。「フィーフィーちゃんがいないと野球出来ない。何もできない」と泣く東に、涼達は言葉を失う。
 昼休み。高杉が昨晩の電話を気にして駆けつけていずみと会う。メダルの件を問いただしたいいずみだが、本心は隠す。その際、高杉は涼から貰ったハンカチを落としてしまう。それを拾ったいずみの眼に力が戻り、打撃の調子をあげる。いずみがハンカチを持っているのに気づいた涼は高杉への気持ちが揺らぐのを感じる。
 東の人形を探しに山に入った涼はにわか雨に祟られ、偶然居合わせた高杉と共に山小屋に逃げ込む。涼は高杉に複雑な思いを抱きながらも「嫌いだ」と言い放つ。
 結局人形は見つからず、東は心を閉ざしたまま夜を迎える。

第22話「ユキ、ひとりじゃないよ!」

 ユキの過去。
 中学時代、打撃と守備に大活躍し、関東女子軟式野球大会の最優秀選手に選ばれたほどの逸材である東。しかし、その活躍をねたまれ、チームメイトからのいじめを受ける羽目になる。親や先生にも相手にしてもらえず、自殺未遂を引き起こした傷心の東は、やがて人形と語り合うようになる。
 彼女の中では、”フィーフィーちゃん”は18光年彼方の”ユーカラ星”からやってきた宇宙人。自分で歩いて話の出来る、たった一人の友達だった。
 なんとか彼女を立ち直らせようと懸命に言葉を掛ける涼達。しかし東は、「自分の気持ちは誰にも判らない」と拒絶する。「フィーフィーちゃんがいないと野球出来ない」という東に対し、いずみは一人他の選手を補充すればよいと言い放つ。皆の反対を受けて、明日まで待つと譲歩したいずみだが、東に向けてボールをノックして、東が人形無しでも野球が出来ることを身体で証明させる。涼達は自分たちは仲間だと東を勇気づける。
 東の心の中から”役目を終えて”星に帰っていく”フィーフィーちゃん”。
 合宿が終わり、地区予選の抽選会が行われる。主将の涼が引き当てたのは堀高義塾。ラフプレイで有名な難敵だった。

第23話「美女と野獣の対決!」

 如月高校が難なく二回戦に駒を進める。如月女子も負けじと意気あがるが、強面の荒れた雰囲気漂う堀高義塾の選手相手に、やや気圧される感がある
 一回表。幸先よく立ち上がった涼に対し、堀高の投手は先頭打者の森村に初球デッドボールを当てる。極端な内角攻めで、如月打線の強打を封じる作戦だった。同時に三番・堀田と四番・いずみにはまともに勝負をしない。
 均衡続く中、涼は調子が上がらず、打者一巡したあたりから四死球が目立ち始める。頼みのイナズマボールもとんでもない暴投になる。塁に出た堀高の選手は荒いスライディングで、ベースカバーに入る選手を潰そうと仕掛けてくる。
 そして両者無得点のまま9回裏。いずみは内角攻めを逆手に取ったテニス打法で三塁打。なおも内角攻めの球を、五番・東がスクイズ。如月女子はサヨナラ勝ちを収める。
 調子の悪いなりに相手を零封したことで、涼はそれなりの自信を掴む。

第24話「Kiss...」

 イナズマボールを駆使する涼の快投が続き、如月女子は一回戦の苦戦が嘘のような快進撃を続け、ついに準決勝にまで駒を進める。準決勝の相手は、高杉擁する如月高校。
 準決勝を前に、涼は木戸監督から休養を言い渡される。一見、絶好調に見える涼の姿に懸念を抱いているらしい木戸監督の姿。
 そして涼の幼なじみである夏目も、涼が実は精神状態に不安を抱えていることを見抜く。涼から高杉の事で話を聞いた夏目は、自分の思いを隠し、涼と高杉のすれ違う感情を結びつけようと尽力する。
 その甲斐あって、涼と高杉は互いの誤解を解くべく、公園で会うことにする。
 公園に向かう高杉の前に、いずみが現れる。いずみは、涼が高杉にプレゼントしたハンカチを自分が持っている事を明かす。同時に自分の高杉に対する思いをうち明ける。
 いずみが、高杉への思いを吹っ切るために求めたキス。だが、その光景を涼は目撃してしまう。その場を逃げ出す涼。二人の誤解は最大限に高まったまま、準決勝を迎える……。

第25話「運命の準決勝」

 対如月高校戦を前に、女子寮に一本の電話がかかってくる。堀田の父が倒れたという知らせだった。動揺を懸命に隠す堀田。
 試合直前のミーティングで、木戸監督は、試合の全てを部員達に任せると告げる。
 試合が始まる。一回表、森村、吉本が連打で出塁するが、堀田はダブルプレー、前日の心理的影響の残るいずみがセカンドへの凡フライとなって得点出来ない。一方、涼は制球を乱して一,二番に四球。一死奪ったものの、四番・高杉相手にも涼は四球を与える。五番打者に安打を喰らい、初回から二失点を喫する。
 涼は自信を失い、その後の高杉の打席全てを敬遠する。四回裏にも一失点、二死満塁の場面でも高杉相手に敬遠し、失点は四点。
 好機を逸し、いずみが涼に謝罪するが、涼は冷たい言葉を投げ返す。堀田、いずみは共に凡退し、出塁出来ない。
 度重なる敬遠に対し、高杉はボール球を強振して安打にする。その後、バックの守備に助けられて一失点で守りきり、 九回表を迎える。七番・渡嘉敷は安打。八番・大道寺は長打コースながら外野の好守備に阻まれる。九番・涼は三振。スコア5対0。如月女子はついにツーアウトと絶体絶命の危機に追い込まれる。

最終話「輝け! プリンセスナイン」

 対如月高校戦は土壇場9回表、ツーアウトランナー一塁。打順はトップに戻って森村。
 森村は奇策のセーフティバント。ピッチャーの正面に転がるが、自慢の俊足を飛ばして一塁を陥れる。
 続く二番・吉本もまた秘策を披露する。左打席に入り、見事安打を飛ばす。これで二死ながら満塁。
 父親の容態を気に掛け、集中出来ない三番・堀田の元へ、毛利が高知から届いたファックスを見せる。
 そこにはただ一文字、墨痕も鮮やかな「風」の文字。
 それはかつて、堀田が涼との三球勝負で破れた時、「風を読み、潮を読む」ことを教えた、その意味を込めた父からの激励だった。
 堀田は調子を取り戻し、豪快な荒波スイングで打球をセンターバックスクリーンの遙か後方まで運ぶ。これでスコアは一点差。
 4番・いずみは高杉への思いを吹っ切り、外野の頭を超える長打を放つ。暴走気味に三塁も蹴り、好スライディングで本塁に生還。ついに同点に追いつく。
 5番・東の打球は一、二塁間を破ろうかという痛烈な打球。だが、ファースト・高杉の好捕に阻まれる。
 ナインの奮起にもまだわだかまりの残る涼に対し、いずみは昨日の出来事の真実を語り、誤解を解く。
 再び胸を張ってマウンドに登る涼。だが、体力は既に限界を超えている。打席に入る高杉に対し、ボールが三つ続く苦しい展開。
 涼は疲労に耐えきれず、マウンド上に膝をつく。そこへ高杉の叱咤が飛ぶ。最後の闘志を振り絞り、立ち上がる涼。
 「一番最後に一番凄い球を投げた」と言われる父・英彦を彷彿とさせるイナズマボール。空振りとファールで高杉をフルカウントまで追い込む。そして最後のイナズマボール。が、名にしおうスラッガー・高杉はこれを左翼方向へと弾き返す。レフト・東はフェンスによじのぼってグラブを伸ばすが、打球はその上をかすめてスタンドへ。サヨナラホームラン。スコア5対6。如月女子は無念の敗北を喫する。
 しかし、如月女子高野球部の闘いは終わらない。来年に向けて、今から彼女たちの本当の闘いが始まる……。


『プリンセスナイン――如月女子高野球部』
(c)1998 伊達憲星 フェニックスエンターテイメント
NHKエンタープライズ21






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