「居住の権利」ホームページ:2005年 5月1日 更新
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 1995年1月17日、阪神淡路大震災。あの大震災によって、私たちが気づかされたことは、「住」の大切さでした。人が平和で安全な生活を営むためには、「住」を単に「建物」としてのみ捉えるのではなく、生活の基盤として、より広い意味で考え、大事にしなければならないということでした。

 さまざまな経験をする中で、私たちは「居住の権利」に出会いました。これは広い意味での「住」を、人間の基本的な権利として尊び、守ろうとする考え方で、多くの国際法にうたわれています。日本も正式にこれらに賛成しています。

 「住」は、私たち一人一人の生活はもちろん、社会の基盤をつくる大切な要素です。私たちの「住」をよりよいものにするために、「適切な居住への権利」の考え方を共有しませんか。



居住の権利って、な・あ・に?

・・・ 目 次 ・・・

「居住の権利」を知っていますか
 1996年、国際連合(国連)の主催で、第2回「人間居住会議」が、トルコで開かれました。「衣・食・住」の中でも、とくに「住」について、世界中から政府やNGO(非政府組織)が集まって、アピールや議論をしました。“被災地の声を世界へ”。神戸から参加した私たちの、報告書のイントロダクションです。

一般的意見 4「適切な住まい」とは
 パート I    パート II(必見)    パート III    パート IV
 専門バージョン     英語原文(国連のページ)


 住まいとは、屋根や壁があればいいというものではありません。安全に、平和に、あなたが人間らしく、あなたらしく生きるための環境がそろって、はじめて「適切な住まい」となります。
 社会権規約委員会は、1991年に、「適切な住まい」ってこんなのですよ、という国際的な基準を発表しました。それが「一般的意見4:適切な居住への権利」です。

一般的意見 7「強制立ち退き」はいけません!
 パート I    パート II    パート III
(準備中)   パート IV(準備中)
 専門バージョン     英語原文(国連のページ)

 世界には、戦争や都市開発、大きなイベント開催のために、住まいを追われる人々がたくさんいます。むりやり住んでいる人々を立ち退かせる、これが「強制立ち退き」です。「住まいや住環境を守り、よりよいものにする」ことは、居住の権利の基本ですから、強制立ち退きは、人権の侵害です。
 社会権規約委員会は、1997年、こういうことは「強制立ち退き」にあたりますよ、という国際的な基準を発表しました。「一般的意見7:適切な居住への権利、強制立ち退き」です。


< 解 説 >

解説1 国際人権規約
 世界中どこにいても、すべての人が人間らしい暮らしを送れるように、第二次世界大戦後、「国際人権規約」が作られました。「人間の権利」についての、国際的な決まり事です。

解説2 日本と国際法との関係
 日本は国際人権規約に参加することを国会で公式に決めています。また憲法には、締結・確立した国際法規の遵守がうたわれています。ですから中央・地方を問わず、日本の政府、裁判所、議会には、規約に定められたことを守る義務があります。

解説3 報告義務
 国際人権規約に参加した国には、その国の中での人権の状況について、定期的に国連に報告書を提出する義務が課せられます。報告書は国連の委員会で審査を受け、評価されます。

解説4 日本政府の報告書
 日本政府は1998年6月に、私たちの社会的権利の状況について、2回目の報告書を提出しました。社会権規約委員会には、人権に関心のある個人やNGO(非政府組織・市民団体など)からも幅広い情報が寄せられました。すでに審査が終了し、日本に対する評価/提言をまとめた最終所見(見解)(必見)が出されています。(参照:最終見解/外務省訳)

解説5 社会権、居住権について
 国際人権規約には、「自由権規約(選挙に参加する権利や、表現の自由など)」と、「社会権規約(衣食住など生活水準についての権利、教育を受ける権利)」があります。「居住の権利」の大きな拠り所となるのは、社会権規約の中の生活水準について書かれている第11条1項です。

解説6 社会権規約委員会と一般的意見
 権利を実現するために作られたのが、規約委員会です。自由権を担当するのは自由権規約委員会、社会権を担当するのが社会権規約委員会です。「一般的意見(General Comment)」は、人権についての具体的な解説で、社会権規約委員会からは、1989年から今までに14の意見が出されています。そのうち「居住の権利」に関するものは二つ、No.4とNo.7です。

解説7 最終所見と政府の姿勢
 社会権規約委員会が所見を出す目的は、その国の人権状況の改善や向上を促すことです。しかし今回の所見の内容を謙虚に受け止めるべき日本政府は、残念ながら「所見は事実誤認」として、誠意ある態度を見せていません。政府の態度は被災地のNGOから社会権委員会に伝えられました。


< 参 考 資 料 >

参考書類 目次 (ここから国際連合、外務省などのホームページに飛べます)
 国際人権規約、日本政府の社会権に関する報告書、社会権に関する第2回日本政府報告書に対する最終所見、ほか。

社会権規約委員会 一般的意見集 (日本語) 目次
 社会権規約委員会による、各々の人権についての具体的な解説。  

社会権規約委員会 一般的意見 (英語原文) 目次
 国連ホームページ内の各一般的意見英語原文(General Comments)にリンク。

「居住の権利」関連・ブックリスト

立ち退かなくても大丈夫 ─ わかりやすい居住権のおはなし ─ (容量:557KB)

居住の権利を被災地で考える市民集会 報告書 (容量:56KB)
 国際居住連合(HIC)顧問弁護士、レッキー氏を迎えて。1998年11月 神戸。

スコット・レッキー氏「居住の権利」講演会 (390K)
 1999年9月ローザンヌ・「日本住宅会議」視察旅行から。


< 被災地の状況:英語資料 / Documents in English>

Still Waiting (January,1996) Habitat International Coalition (350K)
    Housing Rights Violations in a Land of Plenty : The Kobe Earthquake and Beyond
    「救済はいつの日か(国連NGO/ハビタット国際連合被災地調査団による報告書)」英語原文

Collapse and Reconstruction (September,1999) : Housing Recovery Policy in Kobe after the Great Hanshin Earthquake (572K)
    英語論文「崩壊と再生:阪神淡路大震災における神戸市の復興住宅政策」
    from "Housing Studies, Vol.5, No.1, 111-128, 2000"

Supplemental Report from a Victim's Point of View (August,2001)  The Great Hanshin-Awaji Earthquake (40K)
    被災地からのカウンターレポート(1例)


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(2001年9月より)

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